前回のサックス編に続き、今回はトロンボーンの選び方です。

トロンボーンは構造がシンプルなので、サックスほど選び方は難しくなく、楽器のスペックがそのまま音色や吹奏感に影響する傾向にあります。選ぶ際に比較するべき主要なポイントとしては、「ベルの大きさ」、「管の太さ」、「クルークの形状」、「重さ」の4つがあげられます。

ベルの大きさ

ベルの大きさは主に音の解放感に関係してきます。ベルの大きな楽器は、より開放的な音色が出しやすく、大きい音量も出しやすくなります。ベルが小さな楽器は、指向性のあるコンパクトな音色が出しやすく、音量は出しにくくなりますが、代わりに音の輪郭が出しやすくなります。ジャズ向けのテナートロンボーンでは、7.5インチから8インチ程度の大きさが一般的です。

管(ボア)の太さ

管の太さは、主に息の入りやすさに関係してきます。管の太い楽器は息が入りやすく、低音が出しやすくなると同時に太くて柔らかくて音が出しやすくなります。管の細い楽器は息の抵抗が強くなり、高音が出しやすくなると同時に細かいパッセージを吹く際の小回りが利きやすくなるというメリットもあります。ジャズ向けのテナートロンボーンでは概ね0.5インチ前後のものが一般的です。

クルークの形状

クルーク(スライドの先端)やチューニング管の形状は、音色に関係してきます。クルークが四角に近いもは息の抵抗が強くなって少し籠ったような音色になるため、ソリスト指向のプレイヤー(コンボ系のプレイヤー)が好む傾向にあります。

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重さ

楽器の重さ(≒ベル部分の金属の厚さ)は、主に音色やコントロールに関係してきます。軽い楽器は、軽めの音色になりやすく、レスポンスもよくなる代わりに、音色を含めた楽器のコントロールに繊細さを要求されます。反対に、重い楽器は、重めの音色になりやすく、強く吹き込んでも楽器がそれを受け止めてくれるようなイメージがあります。コンボやソリスト系のプレイヤーは軽い楽器を好み、スタジオミュージシャンなどセクション系のプレイヤーは重めの楽器を好む傾向があります。

主要なモデル

メーカー 型番 ベル ボア クルーク
King 2102 7.38″ .481″/.491″
Yamaha YSL-897Z 7.50″ .484″/.490″
M.Rath R100 7.50″ .500″
Bach Model 12 7.50″ .500″
Bach Model 16 7.50″ .509″
XO LY-L 7.63″ .500″
Martin TR-4501 7.75″ .500″
Edwards T302 7.75″ .500″
Yamaha YSL-354 8.00″ .500″
Yamaha YSL-455G 8.00″ .500″/.525″
King 2103 8.00″ .508″
Yamaha YSL-891Z 8.00″ .508″
M.Rath R4 8.50″ .547″

プロの使用楽器

西海岸系のプレイヤーで、Urbie GreenやFrank Rosolinoの影響を受けているプレイヤー(Carl Fontana、Bill Watrous、Bob Mcchesney、Jiggs Whighamなど)は、ハイノートを駆使した速吹きフレーズをスムーズに演奏するため、ベルが小さい細管楽器(Bach 12、King 2102Bなど)に小さくて浅めのマウスピースというセッティングが一般的です。

対して、J.J.Johnsonの影響が強い東海岸系のプレイヤー(Michael Dease、Andre Hayward、Delfeayo Marsalisなど)は、説得力のある太い音を活かした演奏をするために、ベルが大きくてボアも太めの楽器(King 2103Bなど)に深めのマウスピースというセッティングが一般的です。

※より詳しい内容はコチラにて。

 選び方

楽器を実際に購入する際には、以下の5つのポイントに気を付けてください。

  1. 必ず試奏してから買うこと。安くてもネット通販などでは買わないこと。
  2. 可能であればレギュラーの先輩にも同行してもらうこと。
  3. 試奏するときには、必ず使い慣れたマウスピースを持参すること。
  4. 希望するモデルが決まった際には、可能であれば同じモデルどうしで2~3本吹き比べてみること。
  5. 中古品を買う際には、新品の楽器も一緒に試奏して、スライドの状態などをよく見極めること。

「高い楽器=良い楽器」というわけでもありませんし、アマチュアが楽しむ程度であれば入門モデル(YSL-354とか)でも十分ですので、じっくり比較検討してから購入しましょう。

 

 

おすすめ記事

・楽器の選び方①(サックス編)

・楽器の選び方②(トロンボーン編)

・楽器の選び方③(トランペット編)

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