前回のトロンボーン編に続き、今回はトランペットの選び方です。

トランペットは、サックスほど構造が複雑ではありませんが、それでもトロンボーンと比べれば部品数が多いので、やはりベルの大きさなどのスペックだけでは比較ができません。

また、サックスと比べるとメーカーごとの設計思想(ex.「明るく華やかな音色を目指す」、「暗くて丸い音色を目指す」)がはっきりしていますが、それでも機種によっては同じメーカーと思えないような「尖った」モデル(ex.YAMAHAのYTR-8340EM/エリック・ミヤシロモデル)も存在し、一括りにはできません。

とはいえ、以下にあげるような比較ポイントを把握しておくことは、楽器選びをするうえで非常に重要です。

ベルの大きさ

ベルの大きさは主に音の解放感(指向性)に関係してきます。ベルの大きな楽器は、より開放的な音色が出しやすく、大きい音量も出しやすくなります。ビッグバンドのリードプレイヤーなど、ハイノートヒッターはベルの大きな楽器を好む傾向にあります。ベルが小さな楽器は、指向性のあるコンパクトな音色が出しやすく、音量は出しにくくなりますが、代わりに音の輪郭が出しやすくなりますので、トラディショナルなコンボ系のプレイヤーは、ベルの小さな楽器を好む傾向にあります。4.9インチ程度の大きさが一般的です。

管(ボア)の太さ

管の太さは、主に息の入りやすさに関係してきます。管の太い楽器は息が入りやすく、低音が出しやすくなると同時に太くて柔らかくて音が出しやすくなります。管の細い楽器は息の抵抗が強くなり、高音が出しやすくなると同時に細かいパッセージを吹く際の小回りが利きやすくなるというメリットもあります。0.46インチ前後のものが一般的です。

チューニング管の形状

チューニング管の形状は、音色に関係してきます。クルークが四角に近いもは息の抵抗が強くなって少し籠ったような音色になるため、ソリスト指向のプレイヤー(コンボ系のプレイヤー)が好む傾向にあります。

trumpet

支柱の有無

チューニング管の支柱は、主に音色に関係してきます。支柱を付けることによって管体に重さが加わり、抵抗が増えるため、支柱がない楽器のほうが開放的な音が出しやすく、支柱がある楽器のほうがコンパクトで指向性のある音が出しやすいとされています。

表面処理

管体の表面処理は、主に音色に関係してきます。最も一般的なのは表面にラッカーを塗装した「ラッカー処理」ですが、銀メッキ・金メッキを施した楽器もあります。メッキ処理をすると管体の振動が抑制されるため、ラッカー処理のものと比較して音色がコンパクトになり、音が割れにくくなる効果もあるとされています。

重さ

楽器の重さ(ベル部分の金属の厚さや、支柱の有無など)は、主に音色やコントロールに関係してきます。軽い楽器は、明るい音色になりやすく、 レスポンスもよくなる代わりに、音色を含めた楽器のコントロールに繊細さを要求されます。反対に、重めの楽器は暗めの音色になりやすく、強く吹き込んでも 楽器がそれを受け止めてくれるようなイメージがあります。コンボ系のプレイヤーは重い楽器を好み、スタジオミュージシャンなどセクション系のプ レイヤー(特にハイノートヒッター)は軽め楽器を好む傾向があります。

heavy

主要なモデル

メーカー 型番 ベル ボア 管の形状
B&S TP37 4.78″ .459″
Bach 180ML 4.81″ .460″
Yamaha YTR-4335 4.84″ .459″
Yamaha YTR-8335 4.84″ .459″
XO GX-L 4.84″ .460″
Bach Vincent 4.84″ .460″
Queen Brass Zorro C-Line 4.92″ .460″
Yamaha YTR-6310Z 5.00″ .445″
Schilke B5 5.00″ .460″
Yamaha YTR-8340EM 5.29″ multi

プロの使用楽器

「このモデルといえばこの人」という代名詞的な楽器としては、Maynard Fergusonの「Holton ST550MF」、Jon Faddisの「Schilke S42L-J.F.Custom」、Wynton Marsalisの「Monette Prana3」、Chuck Findleyの「Van Laar Chuck Findley Model」などがあげられます。

意外にも(?)世界的に有名なプレイヤーにはYamahaの楽器を使用している人が多く、西海岸系のビッグバンドではおなじみのリードトランペッターのWayne BergeronはYTR-8335LA、オールラウンドの実力派プレイヤーであるRandy BreckerはYTR-8335G、セクションプレイヤーとしてもソリストとしても超一流であるBobby ShewはYTR-8310Z、変態的な超絶技巧で有名なAllen VizzuttiはYTR-9335VGP、日本最高峰のハイノートプレイヤーであるエリック・ミヤシロはYTR-8340EMを使用しています。

※詳しくはコチラ

 

選び方

楽器を実際に購入する際には、以下の5つのポイントに気を付けてください。

  1. 必ず試奏してから買うこと。安くてもネット通販などでは買わないこと。
  2. 可能であればレギュラーの先輩にも同行してもらうこと。
  3. 試奏するときには、必ず使い慣れたマウスピースを持参すること。
  4. 希望するモデルが決まった際には、可能であれば同じモデルどうしで2~3本吹き比べてみること。
  5. 中古品を買う際には、新品の楽器も一緒に試奏して、ピストンの状態などをよく見極めること。

「高い楽器=良い楽器」というわけでもありませんし、アマチュアが楽しむ程度であれば入門モデル(YTR-4335とか)でも十分ですので、じっくり比較検討してから購入しましょう。

 

 

おすすめ記事

・楽器の選び方①(サックス編)

・楽器の選び方②(トロンボーン編)

・楽器の選び方③(トランペット編)

・楽器の選び方④(ギター編)