今回は「ジャズらしさ」を構成する要素について勉強してみたいと思います。

ジャズらしさとは三連符のこと?

一般的にジャズのリズムというと「8分音符2つが3連符の2個と1個の割合になる、揺れるようなリズム」のことをイメージすると思います。

しかし、これは本当でしょうか?次の音源を聴いてみてください。

これは、「茶色の小瓶」という曲を吹奏楽団とジャズビッグバンドがそれぞれ演奏したものです。どちらも三連符で演奏をしていますが、吹奏楽団のほうがジャズビッグバンドよりも深い三連符で演奏していることに気づいたのではないでしょうか。

しかし、三連符の浅いジャズビッグバンドの演奏のほうが、明らかに「ジャズっぽく聴こえる」ことが分かると思います。

もっと極端な例を見てみましょう。

こちらは初期のモダンジャズの演奏ですが、ソロを吹いているトランペットがほとんどイーブンで演奏していることが分かると思います。

三連符ではないのにジャズっぽく聴こえる理由はどこにあるのでしょうか?その答えは「アーティキュレーション」にあります。

アーティキュレーションってなに?

アーティキュレーションとは、「フレーズを演奏する際の音のつなげ方や、音の強弱などの表情のつけ方」のことです。

メロディー楽器がジャズを演奏する際に「ジャズっぽく聞かせる」ためのアーティキュレーションには、いくつか基本的なルールがあります。

ルール①:フレーズを一つの塊として演奏する

一つ目のルールは、フレーズを演奏する際に「一つ一つの音を個別に演奏するのではなく、一つの流れとして演奏する」ということです。管楽器の場合、吹奏楽やクラシックではテンポの速い曲でも一つ一つの音を「パパパパ」もしくは「パン・パン・パン・パン」とハッキリと吹くのに対し、ジャズでは「ルルルールルルー」といった具合に息を通しっぱなしにして演奏します。

試しにクラシックのトランペットと、ジャズのトランペットを聴き比べてみましょう。

クラシックのトランペットが一音ずつハッキリと吹いているのに対して、ジャズのトランペットはフレーズを一息で吹ききっていることが分かると思います。

ルール②:8分音符の裏拍を強く演奏する

二つ目のルールは、「(基本的に)8分音符を連続で演奏するときは、表拍よりも裏箔を強く演奏する」ということです。カタカナで表現するとすれば、「ルルルル」ではなく「ルダルダ」と演奏する、ということです。

B♭のスケールを「裏拍アクセントなし」と「裏拍アクセントあり」で吹き比べたものを聴いてみましょう。

ただのスケールなのに、後者のほうがジャズらしく聞こえることが分かると思います。

ルール③:フレーズの谷になる部分を弱く演奏する

三つ目のルールは、8分音符が連続する場合に、高い音に挟まれた低い音はあえて弱く演奏する、ということです。低い音が裏拍の音であっても、前後の音(表拍の音)のほうが高い場合には、その音を弱く演奏します。これを、「音を飲む」という表現をします。

こちらの動画の譜面上で「カッコ」がついてる音(飲む音)に注目して聞いてみてください。

フレーズの中で音の強弱(聞かせる音、聞かせない音)をつけることによって、メリハリがついて表情豊かなジャズらしい演奏になっていることが分かると思います。

参考動画

以下の動画は、1984年の第26回グラミー賞にてクラシック部門とジャズ部門の両方で受賞を果たしたWynton Marsalisが、クラシックの楽曲(フンメルのトランペット協奏曲・第三楽章)とジャズの楽曲(Knozz-Moe-King)を同じステージ上で続けて演奏しているものです。

クラシックの演奏ではE♭管のトランペットを使用しているので少し特徴的な音色になっていますが、それ以上にジャンルによって吹き方を大きく変えている(=クラシックは一音ずつハッキリと、ジャズはフレーズを一息で滑らかに)ことが分かると思います。

まとめ

結論、「ジャズらしさとはジャズ特有のアーティキュレーションによって生まれる」ということが分かったのではと思います。

ジャズらしいアーティキュレーションを体得するためには、たくさんプロの演奏を聴くこと、そして自分がそのプロになったつもりで頭の中でイメージトレーニングして、っプロの「モノマネ」を続けることが大切です。ぜひ様々なプロの演奏を聴いて、自分が目標にしたいと思うアーティストを見つけて、たくさんモノマネをしてもらえればと思います。